恋愛と不安産業:不安を煽り、解決策を売る仕組み
「不安」をつくり出すことで成り立つビジネス
現代の恋愛マーケティングは、私たちの「足りない」「間に合わない」といった焦りや不安を、巧みにビジネスに変えています。
「30代で彼氏いないとかヤバいよね?」
「そろそろ結婚しないと後悔するかも」
「他の人はもっと恋愛うまくいってるのに…」
こんなフレーズ、SNSや広告で見たことありませんか?
これらはすべて、「不安」を引き出して、それを解決するかのように「恋愛ノウハウ」や「マッチングサービス」「美容商材」などを売る典型的な手口です。
自己肯定感を利用する商品・サービスの構造
多くの商品やサービスが、「自己肯定感」をキーワードに訴求します。
恋愛がうまくいけば、自己肯定感が上がる
外見を磨けば、自分を好きになれる
小さな成功体験を積めば、自信がつく
──確かに、間違ってはいません。
でも、うつ病などで長年自己肯定感の低さと向き合ってきた私にとっては、「小さな成功体験を積めばいい」と言われても、その「小さな成功体験」すらも実感できないことがあるのです。
達成感が感じられない、何も響かない。
そんな状態の人間にとって、「こうすれば自信が持てる」は、正論でありながらも、時に追い打ちになります。
恋愛にリスクはつきもの。でも、無理なときは無理。
「恋愛にリスクはつきものだよ」と言う人がいます。
それも正しいです。出会いは未知数で、人と関われば、必ず何かしらの感情の起伏が生まれます。
でも、世の中にはそもそも出会いの場がなく、マッチングアプリすら怖くて使えず、事件に巻き込まれるリスクが現実的にある人もいます。
そんな人に向かって「動かなきゃ始まらない!」と言うのは、酷です。
自己肯定感が低いこと、動けないこと、それはその人が「間違っている」わけではありません。
社会の仕組みが、あまりにも「動ける人」基準で回りすぎているだけです。
恋愛マーケティングに飲み込まれないために
恋愛は、人間関係の一つです。
商品ではありません。数字でもありません。
「誰かとつながりたい」と思う気持ちは尊いですが、焦らせる言葉や、欠乏感を刺激する商法に飲み込まれる必要はありません。
私のように自己肯定感が低い人でも、ゆっくりと、自分のペースで。
恋愛しなくてもいいし、恋愛に興味を持てない時期があってもいい。
あなたがあなたでいることを、責めなくていいんです。