恋愛に“努力”が必要って、誰が決めたの?
「恋愛は努力しないとできない」
「見た目を磨け」「会話力をつけろ」「出会いの場に飛び込め」――。
こういった言葉、SNSや恋愛系コンテンツ、そして広告でよく見かけませんか?
たしかに、出会いに向けて準備したり、外見や内面を整えたりすることは大切です。ですが、努力=恋愛が叶うという単純な構図には、違和感を覚える人も少なくないはず。
本当に、努力すれば誰でも恋愛できるんでしょうか?
今回はこの「恋愛=努力」ロジックの裏側にある恋愛産業のプレッシャー構造と、努力ではどうにもならない“環境”や“運”について考えてみます。
美容・アプリ・自己啓発…恋愛市場が求める“理想像”
現代の恋愛には、もはや巨大な市場が絡んでいます。
マッチングアプリのプロフィール添削
恋愛コンサル・恋愛セミナー
自己肯定感を高めるトレーニング
美容整形・脱毛・ダイエット商品
どれも、「恋愛したいならまず自分を変えなさい」という前提で成り立っています。
恋愛の悩みは、不安産業(不安を煽り、解決策を売る市場)と結びつきやすく、
「努力しない=恋愛できない=あなたが悪い」と、自己責任論に巻き込まれやすくなるのです。
恋愛に“運”というファクターを忘れていない?
もちろん、努力も大切です。
でも、それだけじゃどうにもならない「運」や「環境」の影響も大きいと思いませんか?
たとえば、
幼なじみと自然に結婚した人
たまたま職場に相性の合う人がいた人
学生時代からずっと付き合って結婚した人
こういうカップルは、出会いの段階で“勝ち組”だった可能性もあります。
本人の努力というより、**生まれや環境の“引きの良さ”**だったのかもしれません。
逆に、婚活を10回してもいい相手に出会えない人は、理想が高いというより、**「ちゃんとした人が見つからない」**という現実的な問題に直面していることもあります。
「恋愛に努力できない人」は本当に“怠け者”なの?
さらに言えば、「恋愛に向かって努力できない人」がすべて怠けているとは限りません。
たとえば、
家族の介護をしている人(ヤングケアラー含む)
経済的に余裕がなく、自己投資どころではない人
メンタルの不調で恋愛どころじゃない人
そういう人たちは、「頑張れない」のではなく、**「今は頑張れる状態じゃない」**だけなんです。
それでも、「努力不足です」「自己肯定感を上げれば解決です」と断じられてしまうのは、やっぱりおかしいですよね。
恋愛=自己責任という風潮にNOを
努力で恋愛をつかんだ人がいるのも事実。
でもそれと同じくらい、「努力ではどうにもならない」恋愛のかたちもある。
私たちがもっと冷静に考えるべきなのは、恋愛は努力“だけ”ではないという視点。
運や環境の差
相手の存在という偶然性
社会的な不利や背景
そういった「どうしようもないもの」も、恋愛のリアルなんです。
まとめ:恋愛は頑張るものじゃなく、成り立つもの
恋愛は「頑張った人が報われる世界」ではありません。
時には、運がすべてを決めることもあるし、どう頑張っても叶わない恋もあります。
努力を否定するわけではないけれど、
**「努力しない=悪」**という空気に疲れてしまった人がいたら、
その気持ちは決しておかしくありません。
恋愛するには勇気も、タイミングも必要。
無理に焦らず、自分のペースでいいんだよ、という声もちゃんとあっていいと思います。
▶関連記事