手相・人相学講座1
「手相学」や「人相学」というのは、「個人の潜在的な要素が、手のひらや顔に浮き出てくる」といった発想法に基づいています。では、この考え方が本当に信頼のできるのかどうか、検証してみましょう。
手相や人相の考え方とは
手相や人相の根底にあるのは、私たちの「潜在意識」というもの。「潜在意識」は見ることも触ることもできないものです。
しかし、現代の心理学においてはこの存在を認めており、私たちも実際的に、自分自身の意識の下部に情念のように渦巻く、こうした存在が潜んでいることが経験的に分かります。
なぜなら、私たちはこの情念に支配されることがよくあるからです。
たとえば、誰でもこういう経験をすることがあるのではないでしょうか。「頭では理解できます。しかし、腹の底では納得できない」という経験です。これなども、私たちの潜在意識の存在を示すものといえるでしょう。こうした経験は誰でもあるものですが、こうした経験から潜在意識の存在をしることができるでしょう。
この見ることも触ることもできない「潜在意識」は、その存在は理解できても、それがどのように心の内部で機能しているかは、断片的にしか分かりません。つまり私たち人間は、自分の心の奥底がどのようになっているかまったく分からないのです。
しかし、それは私たち人間の心の大部分(90%近く)を占めると言われており、意識の下部から私たちに大きな影響を及ぼしていると考えられています。
手相や人相を見る意味とは
では、どのようにしたらこの潜在意識の世界を知ることができるのでしょうか。実は、その答えのひとつが、この手相占いや人相占いなのです。
「手相学」や「人相学」では、この潜在意識の持つ性質が、手のひらや顔に「相」となって現れると考える発想法です。こうした発想法そのものは、確かに的をついた考え方といえるのではないでしょうか。
なぜなら、「人の心の奥底で想っていることは、たしかに外見に現れ出てくるもの」だからです。
たとえば、「服装の派手な人」は異性に好かれたいという願望ですし、恋をすれば肌つやが美しくなります。また、嘘をついていれば、何となくよそよそしい態度になるものです。
こうした心の作用というのは、それがある程度まで強まれば、確かに外に現れ出てくるものだと言えます。だとすれば、そうした現れを統計的に収集していって、経験則と照合していけば、「手相占い」や「人相占い」みたいなものを作れるということになるのです。
しかし、注意しなければならないのは、現在の「手相学」や「人相学」がどの程度まで完成度を持っているのか、つまりどの程度まで、この潜在意識のパターンを正確に読み取って占っているか、ということになるでしょう。
手相・人相学の技術とは
人相学の古典とされる『神相全編』には、人相から心を読みととる様々なテクニックが記されています。
ただ、この本が書かれたのは今から1000年前。内容も当時の世相を反映しており、現代にそのまま使えるわけではありません。
しかし、いろいろと参考にはなるでしょう。『神相全編』では人相を14にわけ、吉相と凶相に分類します。
[吉相]
| 威相 |
どことなく威厳があって、自然と人を従わせる相。大政治家、大実業家など。 |
| 厚相 |
目・鼻・口・耳が大きく、全体的に重厚な相。大臣、大資産家など。 |
| 清相 |
あくのない清らかな顔で、すがすがしい印象を与える人。医者、研究者など。 |
| 富相 |
顔全体がふくよかで、大らかな印象の相。今で言えば資産家、実業家など。 |
| 貴相 |
高貴さと品性を感じさせる相。今で言えば高位高官的な印象。 |
| 寿相 |
いわゆする長寿の相。瞳が純粋で、声に張りがある。体型は痩せ型。 |
| 古相 |
頭や顔の骨がごつごつとした相。純朴で保守的な人だが、頑固さがある。 |
[凶相]
| 弧相 |
どこかさびしそうな顔の人。貧乏ゆすりをして、せかせかと落ち着きがない。 |
| 薄相 |
顔も体も貧弱で、どことなく陰気な印象の顔の人。目に力が無く、顔も暗い。 |
| 悪相 |
相貌はごつごつした印象を与え、怖い感じのする人。声も怖い印象。 |
| 俗相 |
世間ずれして悪賢く、いかにも品性のなさそうな印象を持つ顔の人。 |
| 夭相 |
口が小さく、はと胸であり、いつも下ばかり向いている人。 |
| 貧賤相 |
鼻の長さが短く、口もしまりが無く、歯がむき出しになっている人。 |
| 弧苦相 |
男性でも女性に見え、女性でも男性に見える人。晩年は孤独になりやすい。 |
『神相全編』の分類が、今から1000年も前の世相から作られたことがその表現からもわかります。表現法がどことなく古く、現代にそのまま応用することは難しいと思われます。ただ、現代の私たちでも、他人に対してこのような印象を持つことがあります。
どことなくさびしそうな印象の人、怖そうな印象の人、俗っぽい印象の人がいます。その反対にすがすがしい印象の人、高貴さを感じさせる人、器の大きさを感じさせる人がいます。
『神相全編』の記述にこだわらずとも、たしかに人の相貌はその人の心を映し出したものといえるでしょう。
『神相全編』では顔を大きく3つに分類します。目から上を「上停」、その下から鼻先までを「中停」、鼻先から下を「下停」といい、それぞれ若年期の状態、中年期の状態、晩年の状態をみるといいます。
この三停のバランスの取れた人は生涯、福に恵まれるといいます。三停に傷が無いこと、歪みがないこと、粗野でないこと、そして血色が良いことを条件とします。
『神相全編』では、細かい点を見る方法として以下の点も記しています。
眉間・・・・・肉付きがよく、勢いがあれば成功する人。陥没している人は貧困になる。
鼻・・・・・・鼻が眉間に向かって、肉付きがよく、豊かならば財運を得る人です。
眉・・・・・・清らかで光彩のある人は独力で成功する人。散乱した眉は財運の悪い人。
目・・・・・・黒目がくっきりとしてさえている人は事業運の強い人です。
目の下・・・・涙堂ともいいますが、ここの発達している人は子孫運が良いといいます。
あご・・・・・あごの中央が丸く豊満な人は、多くの人を使う人です。
目じり・・・・黒いにじみのある人は離婚を考えている人、ほくろは浮気心がある。
目の間・・・・盛り上がって鼻に連なる人は文才のある人。勢いのない人は苦労が多い。
額の両端・・・額が豊満で明るい人は、家についての心配のいらない人です。
眉間の上・・・高く隆起し、きれいに輝いている人は、長いこと重要な地位に就く。
このほかにも口の形、眉の形、目の形など、人相を見る上でのポイントが書かれていますが、なるほどと思わせるような箇所もありますので、人相学を勉強される方は一度目を通すべきかもしれません。
次に手相学のほうを見ていきます。『神相全編』にも手相のことが書かれていますが、現代の日本で使われているのは西洋流の手相術です。『神相全編』の手相はかなり漠然としたものであり、現実性に乏しい面があります。リアリティーのある西洋手相術が流行したのも理解できるような気がします。西洋手相学では主要な7つの線があるといいます。
[手相の7つの線]
生命線・・・おもに健康状態、活力を表し、ここに障害がでると病気、事故の暗示。
頭脳線・・・個性的な能力、才能、仕事の分野などをみる。
感情線・・・人付き合い、情緒の安定性などを見る箇所。
運命線・・・人生における状態の変化、運の良し悪しが表される。
太陽線・・・人気運や名誉、金運などをみる。
財運線・・・商売の才能をみる
結婚線・・・結婚の時期や愛情問題などをみる。
実際に手相を見る際は、各線の長さや状態(とぎれがないか、くっきりとでているか、そして障害の線が出ていないか)をみていきます。線はくっきりと出ているものがよく、切れ切れになっている線、薄い線はあまり良くないとされます。また、線上に×印が出るのもよくないといいます。
7つの主要線以外にも、手相学にはさらに細かい部分を読む線がたくさんあります。ここではとても紹介できませんが、手相はまさに「習うよりなれよ」といった部類に入るものでしょう。全体の意味を覚え、縦横にリーディングするには長年の経験が必要のようです。
手相・人相学講座2
手相・人相学の歴史
さて、この潜在意識を読み取る占い術が、どのくらい前から発展してきたのかを見てみましょう。まず、人相占いに関して言えば、日本で使われる術の多くがやはり中国に起源を持っています。
秦や漢代(前202〜220)の医学書であった『皇帝内経素問』や『皇帝内経霊枢』にも人相についての記述が見られます。
でも、現代に使用される人相学に関しては、五代(907〜960)と宋(960〜1279)の道士であった陳希夷(?〜989)の『神相全編』という著者が典拠とされています。
陳希夷は道教(中国の民族宗教であり神秘学)の行者であり、人相占いや手相占いの達人とされた人です。その占法をまとめたものが『神相全編』です。
この本が日本に輸入されて、江戸時代に相法が隆盛となるのです。大阪の名観相家として名を上げた水野南北(1760?〜1834)もこの書によって、相法占いの世界へと入っていきました。
また、明治期においては画相法の創始者の林文嶺(はやしぶんれい)、「黙って座れば、ピタリとあたる」と名言を残した桜井大路(さくらいおおじ)らの達人によって人相占い学が一般に広まったのです。
手相占いの起源は
しかし、一方の手相占いは、現在の日本で使われているものは、この陳希夷の『神相全編』のものではありません。大正時代に移入された西洋流の手相占い術が主流となっています。手相術は特に18〜19世紀にかけて、フランスで隆盛をみましたが、その起源は旧約聖書の時代にもさかのぼると言われます。
しかし詳細は今のところ定かではありません。さて歴史的にはともかく、実際にこれら相学がどのような特徴を持ち、どの程度使えるのかを、次に検証してみましょう。
手相・人相学の検証
人相学は誰でも使っている
人相占いに関して言えば、実を言いますと、私たちは無意識によくこの「人相占い」を使っているのです。たとえば初対面の人にあうときに、その人全体や顔から何らかのイメージを受けるものです。
たとえば、髪型や服装が派手であれば、見栄っ張りであるとか、こぎれいな格好をしていれば几帳面であるとか、顔や体全体の形や色などの均衡を見て、おおよそのその人物の性格を推測します。
その中でも、特に顔は世界中に二つとないほど個性的なものですから、その人の潜在意識の特徴がよく表れてくると考えることができるでしょう。実は、誰でもこの「人相占い」を無意識のうちに使っており、人の性格を読み取ったり、考え方を読み取ったりしているのです。
潜在意識の中のイメージとは
たとえば、口の大きな人は生命力がありそうだとか、「への字」の口は頑固そうだとか、あるいは濃い眉は情が強そうだとか、三日月眉は心が美しいとか、何となくそういうイメージを誰でも抱くものです。
こうしたイメージの大部分は、私たちがこれまで経験してきたイメージによる印象なのでしょうか。
目のつりあがった人に対して恐怖心を抱き、目じりの下がった柔和な人の顔を見て親近感を抱くのは誰でも同じなのです。
つまり、人相占いとは顔や全体に表現された無意識の現われを細かな点までひろいあげ、経験的に理論化していったものと考えられます。
手相・人相(相学)には奥義がある
ですから、そこには確かに根拠らしきものが存在するのです。しかし、人相占いや手相占いが個人の無意識の状態を単に読み取るだけであれば、現代の心理学などと大きな違いはなくなります。
現代心理学でも様々なテストをとおして、個人の潜在意識を読み取ることができるからです。これだけでは運命学、占いとは呼べません。実は、手相占いや人相占いの奥義というのは別の所にあるのです。
手相や人相学の奥義とは何か
手相学や人相学の奥義とは何でしょうか。その奥義とは、実は「見えないものを見る」という点にあるのです。手相学や人相学ではそれを「気色を見る」という言い方をします。
手相や人相学の達人になると、手相や人相として実際に形として現れたもの以外にも、形而上的領域にある、つまり目に見えない無意識世界にある物が見えるといいます。
その人の「思っていること・考えていること」、あるいは「その人の過去の出来事」や「近未来の出来事」などが象となって見えるというのです。
過去には、実際にそうした達人がいたといわれます。これは今で言う「透視」の一種と考えられます。本当の達人レベルになると、こうした未知の能力が開けてくるのかもしれません。
これが手相学や人相学を行う人たちの目指す占いの達人の境地でしょう。しかし、こうした特殊な能力は誰でも開けるというものではなく、また開けるといっても様々なレベルがあって一概には言えないのです。
透視的な能力には注意が要る
こうした特殊な能力は扱い方が非常に難しく、観相者が実際に見たと思っても、それがまったくの「虚像」であったり、あるいはその人とはまったく関係のないものを見たり、あるいは観相者自身の思いが投影されたものであったりなど、誤認する場合が数多くあるのです。
これは霊感を使う占いなども、まったく同様でしょう。ですから、こうした神秘能力を使用する際には、常に合理的・論理的な検証というものが欠かせません。
手相や人相などの占断法は、それを行う人によっては驚異的な的中率を上げることもできるのかもしれません。
しかし、実際的な手相術や人相術の現在における技術的なレベルを見る限り、直感力の優れた人以外は当たらずとも遠からずの的中率であって、そのシステム上、判断の多くが観相者の能力に大きく作用されるということです。
ただ、非常にまれですが、当人の運命に関する重要な事柄を、「観相者を通して神霊が語ることもある」ということを最後に付け加えておきます。
※ ちなみに私自身は、占星術(西洋占星術、インド占星術、四柱推命)に最も信頼を置いています。
〔八島高明・文〕

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