占い講座5−1
親と子の関係―人間関係の中でこれほど親密で、強い関係が他に存在するでしょうか。男女の関係も時には親密になりますが、それは瞬間的なものであり、親子関係のような持続的な強さはありません。職場では鬼のように思われている上司であっても、家に帰ると別人のように我が子に甘い人がいます。
俗にいう「目に入れても痛くない」といわれるのは、こうした親と子の親密な関係を表現したものです。
しかし、そうした親密な関係は、運命の世界から観察すると実に複雑に絡みこんだ関係でもあることがわかります。ただ単純に「親子は良いものだ」と手放しに喜べない面を持っているのです。そうした複雑な親子関係にどのような背景があるのか、少し運命のメスを入れてみましょう。
以前に、このような方の運命分析をしたことがありました。その人はとても子供のことで悩んでいるようでした。しかし、直接にそのことは口には出しません。人間というのは不思議なもので、本当に悩んでいることは案外素直に聞けないものです。
その人もそうでした。本当に悩んでいるのは三女の娘のことなのに、運命分析においては別の相談内容を出してきました。このような人は大勢います。しかし、分析が進んでいくと、ちょっとしたきっかけから本当に悩みのあるほうへと内容が変わっていくことがあります。その時もそうでした。
占い講座5−2
■どんな人も深層心理のままに生きている
「実は、この娘のことでとても悩んでいるのです」
その娘のことを思い出したかのように、苦々しい表情でぼそっと話し出しました。それからは娘さんのことで話が止まりません。堰を切ったように話が続いていきます。私はその娘さんの基礎データに目を通します。なるほど、確かにその娘さんはかなり自我の強い人であり、関心が人間関係よりも金銭などの物に向かっています。このようなタイプの人は、必ず人間関係で障害を起こすパターンの人です。
しかし、そのとき一緒に調べた、同じ姉妹である姉のほうは控えめな人であり、関心が人間関係や家庭への奉仕などに向かっていて、とても女性的なタイプの人でした。同じ姉妹といっても潜在的な心理構造はまったく異なっています。もちろん、これも運命の為せる技です。
そのことを母親である相談者に告げると、
「二人の性格は、まったくおっしゃるとおりです。同じ姉妹なのに、なぜこんなに性格が違うのでしょうか。私の育て方が間違っていたのでしょうか」
その人は自分の育て方が悪かったせいで、三女の性格がひねくれてしまったと思い込んでいるようでした。しかし、育てた方が悪かったのであれば、生年月日時のデータの中にそれを示す要素が出てくることはありません。反対に考えれば、生年月日時の要素の中にこうしたデータが出てくるということは、その人は生まれつき、このような性格であるということになるのです。
「娘さんはけっして育て方のせいで、こうした性格になったのではありません。これは彼女が生まれつき持っている運命なのです」
相談者である母親は、その一言でかなり肩の荷が下りたようでした。
それまではこの娘の責任は自分にあると思い込み、一人でずっと悩んできたわけです。ですから、その一言が相当な救いになったのかもしれません。
「そうですか、運命ですか。でも、この子も不憫な子ですね」
と、母親はつぶやくように言いました。そこにはまだ多少の誤解が入っています。つまり、母親はこのような星の元に生まれた我が子をとても不憫な運命だと考えているようです。ちょっとした誤解であっても、それは正しておかなくてはなりません。なぜなら、そのちょっとした誤解が、将来、大きな間違いを犯すことにつながっていくからです。
「そうではありませんよ。この娘さんは偶然にその日に生まれて、こうした運命を背負ったわけではありません。生まれる時は彼女自身の潜在的な心理に相応するようにして選んでいるのですよ。」
占い講座5−3
■運命は自らの心に相応してつくられている
母親はキョトンとした顔をして聞いていました。意味がはっきりと飲み込めないようでした。人間の運命は生まれた瞬間に将来の方向性がある程度定まります。しかし、そうした考え方に立つと、「幸福な運命を持った人」と「不幸な運命を持った人」がいることになります。
先の話で言えば、性格が穏やかで女性的な姉は皆から愛される幸福な運命であり、自我が強くてわがままな妹は、人と争ってばかりの不幸な運命を持っているというわけです。相談者である母親はそのような意味に解釈しているのです。ところがそれはまったくの誤解なのです。運命が一度きりのものであると考えれば、それは当然、そのような考え方になります。しかし、私が運命の研究を通して到達したのは、まったく想像を超えた運命の世界でした。
「運命は偶然に作られる」と多くの人は考えています。環境的なものから運命はできていくと考えるのが今は一般的でしょう。
そうした考え方がまったくの思い込みであり、運命の法則の下にはまったく理不尽であることが運命の研究を通してわかってきました。
実際はそのまったく反対であり、運命の世界はまったくの平等な世界であり、そこには何の差別もないのです。
運命は偶然に作られたものではなく、すべて必然的な理由のもとに構成されているのです。人生は一度きりではありません。人間は何度も生まれ変わっては、再び人生をやり直しているのです。つまり、私たちは以前にもある時代のある国に生きていたのです。そのときの生き方が次の人生の運命パターンを決定します。
つまり、現在の私たちが持っている運命パターンは、けっして偶然に作られたものではなく、前世の生き方に相応するようにして、定められているのです。そして運命の世界には、それを大規模で再現させるすばらしい自然のシステムがあります。
すべての人間はこのような大自然の運命システムの中で生きているのです。そして前世の記憶はすべて残存した心理となって、現在の運命に干渉してきます。
先ほどの例で言えば、姉のほうは前世においても温厚な人であり、穏やかな生き方を好む人であったというわけです。そして妹のほうは前世も自我の強い人であり、人間関係を大切にしないで金銭や物にばかり関心を奪われてきた人生であったことが分かります。こうした心理情報は死んだ時点で消えるのではなく、あくまでも一時的に深層心理の中に種子として保存されているにすぎません。
それは確かな情報として次の人生に持ち越されます。そして生まれ変わる時点で、その人の心理状態に相応するようにして、現在の生まれる環境が設定されているのです。ですから、先ほどの三女の娘さんの不幸な運命パターンも偶然に作られたものではなく、必然的な運命法則によって、そうした「運命の星の下に生まれてきた」というわけなのです。
しかし、こうした運命の世界を一度で理解できる人は稀です。ほとんどの人は首をかしげて半信半疑といった感じでしょうか。これは長い期間にわたる運命の研究を通して導きだしてきた運命の結論ですから、間違いないと私は確信しています。
この理論に関しては様々な面からの検証をしてきました。また、理論的な面だけではなく、自分自身の体験や前世の記憶とも照合を重ねて、緻密に理論化してきたのです。こうした内容を信じるも信じないもまったく個人の自由ですが、私にとっては自分自身の体験を客観的に観察し、また綿密に検証してきたつもりですから、それはまったく疑えないほどのリアルな世界でもあるのです。
しかし、娘のことを心配する母親に、こうした運命の世界を理解させるのはけっして容易なことではありません。
占い講座5−4
■親子といえども運命は異なることを理解する
「お母さん、娘さんの運命というのは彼女自身が運命の流れの中で様々な苦労を体験し、自分自身の欠点を修正していくためのプログラムなのですよ」
「ですからお母さんとしては、そのことに責任を感じる必要はないし、また娘だからといって深く干渉するのもよくありませんよ」
と、告げました。その母親はある程度は理解したようで、何度もうなずいていました。そして最後にこう言いました。
「娘のことは長年にわたって、自分の教育の責任だと思いこんできましたが、今日、そうではなかったことがはっきりとわかりました。責任を感じて娘のことに深く干渉してきましたが、これからは少し距離を置いて接したいと思います」
母親は何度も深々と頭を下げると、安堵したように帰っていきました。
運命分析という仕事は、正しい運命の世界を伝えるためにやっています。運命の正しい世界を理解せずに迷信的なことを信じたり、あるいは責任の所在を曲解したり、他人に責任を押し付けたりして、迷妄の運命世界をさ迷っている人のなんと多いことでしょうか。
迷っているだけならまだ弊害も少ないでしょう。しかし、その小さな誤解が将来の大きな過ちの火種を作るのです。不幸の本当の原因が自らの心の中にあることを知らない人は、何度生まれ変わってきてもまた不幸な人生を繰り返します。
運命の世界はこうした人が本当の自分を悟れるまで、何度も何度も運命の荒波の中にその人を投げ込むでしょう。
そのような人は時には溺れそうになりながら必死で生きていくうちに、本当の運命の世界を徐々に理解し始めるのかもしれません。しかし、そのときが来るまで、容赦のない運命の波が何度も襲ってくるでしょう。そうした苦労の経験も少しずつ人間としての成長をもたらしていくのです。人はこうした運命の世界の中で懸命に生き、自らを成長させていかねばならない宿命を背負っているのではないでしょうか。

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