占い講座12−1
ストーカーという言葉を最近よく聞くようになりました。ストーカーとは、ある個人に対して異常なほどの強い関心を持ち、そのあとを追い回す者というような意味です。
近年、大きな社会問題となり、その言葉が辞書にまで掲載されるようになりました。また、テレビなどでもよく取り上げられ、被害者の生々しい実態がその怖さを伝えています。なぜ、人は理性を失って、このように極端で過激な行為に走るのでしょうか。
また、その根底には何があるのでしょうか。ストーカーという行為は男性だけに限らず、女性にも起きうる現象です。また年齢も様々であり、若い人から老人にいたるまで、年齢の壁を越えて生じてきます。つまり、すべての人が加害者になる可能性があり、また被害者になる可能性もあるのです。自分は絶対にそんな卑劣な行為はしないと、誰が完全に言い切れるでしょうか。
占い講座12−2
■同じ生年月日でも同じ運命にはならない
運命分析でも時々、それに近い内容の相談を受けることがあります。以前に二十代くらいの若い女性の人がたずねてきました。彼女は占いなどをまったく信じないタイプの人でしたが、母親に説得されて仕方なく付いてきたようでした。それがよほど嫌だったのか面談室に入るなり、とつぜん彼女は言い放ちました。
「占いって、本当に当てになるのですか」
突然の言葉にびっくりした私は、思わず固まってしまいました。
「どういうことですか?」
私がとっさに言い返すと、彼女はまた言いました。
「自分は今、仕事がうまくいきません。しかし、私と同じ生年月日の友人は今も仕事を続けています。どうしてですか?」
その女性には同級生の友人がいて、まったく同じ生年月日だといいます。その友人は現在も仕事がうまくいっており、自分はうまくいかない。まったく同じ生年月日なのになぜですかというわけです。男性にはよくこのようなタイプの人がいますが、女性で見たのははじめてです。しかし、理屈としてはけっして間違ってはいません。
「大変申し訳ありませんが、その友人とは生まれた時間までまったく同じですか?」
実際に、生まれた時間や生まれた場所が違っていれば、まったく同じ運命にはなりません。いや、たとえそれがまったく同じであったとしても、まったく同じ運命にはならないでしょう。生年月日、生まれた時間、生まれた場所によって定まるのは、その人の潜在意識の心理構造であり、運命そのものではありません。しかし、その心理構造が運命を形成していく母体になります。
ですから、心理構造がまったく同じであれば、たしかに似たような運命を形成していくことになるでしょう。しかし、その心理構造の中核をなしている個人の精神は、一人一人まったく異なるものです。ですから運命がまったく同じになることは無いのです。運命という観点からいえば、千人いれば千通りの運命があり、一万人いれば一万通りの運命が存在するでしょう。
CAP運命分析でわかるのは、その人の運命そのものではありません。あくまでも運命の傾向性なのです。未来は最初から決まっているわけではないのです。その女性の発想自体に完全に誤解が入っていました。彼女は私の質問に答えていいました。
「いや、生まれた時間までは分かりません」
CAP運命分析において、生まれた時間は非常に重要な要素です。世間には生まれた時間やその補正をしないで個人の運命を予測するものがあります。しかし、その方法では正確な運命の診断はできないでしょう。実際に生まれた時間がわからない人の場合、分析中にかなり曖昧な要素が生じてくるのです。私は彼女にいいました。
「そうですか。では、生誕の時間の違いで、その差が出ているのでしょう」
その女性は何となく納得したようです。ようやく分析に入ることができました。
占い講座12−3
■ストーカー事件が起きたのは偶然ではなかった
私はその女性の心理構造を分析した資料を読み込んでいきます。正確な生誕時がわからないために、非常にやりにくい感じでした。
「まず、この生年月日が間違いないか、確認をしましょう」
生まれた時間が不明な場合、生年月日すらあやふやな時があります。特に夜中の午前0時ごろに生まれた人の場合、時間の補正を入れると実際には前日生まれになる人もいるのです。
現在、日本で使用されている時間は、あくまでも標準の時間です。兵庫県の明石を中心として計算された時間であり、実際は地域によって時間は異なってくるのです。つまり、それぞれの地域によって本当の時間というのがあるのです。
本当の時間とは太陽の位置から計算しなければなりません。沖縄と北海道では一時間以上の時差があるのです。ですから、その人の生まれた瞬間の正しい時間は、補正計算によって求めなければなりません。
そうした事情から、生誕時の不明な人は本当にその日に生まれたのかを、まず確認する作業をすることもあるのです。その女性の資料を見ると、昨年○○年は異性に関する否定的な影響がある、という暗示が出ていました。まず、それから確認していきます。
「昨年、異性に関することで悪い暗示が出ています。異性に関することで、何かトラブルがありましたか」
それまで勢い込んでいた女性の表情が一変しました。目を見開きながら私の顔を見ています。
「どうして分かるのですか」
その生年月日は正しかったようです。昨年の異性に関する否定的な影響は、かなり強く生じてきたようです。昨年のつらい体験を指摘され、話の流れは仕事のことから昨年の出来事へと変わっていきました。
「実はストーカーされたのです。本当に大変な年でした」
その女性は深刻なストーカーの被害者でした。大きな実害は無かったものの、その精神的な苦痛たるや相当なものだったと思います。その一年間はずっとストーカーに付きまとわれ、無言電話や尾行など言いようの無い恐怖を感じたようです。その相手とは面識が無く、まるで知らない相手だったといいます。
私は彼女の基礎資料を眺めながら、その話を聞いていました。しかし、なぜ彼女の運命パターンの中に、そうした異性に関する否定的な暗示が最初から記されているのでしょうか。数多くの運命をみてきた私ですが、現実的な思考からすればこのような出来事の的中は何度あっても驚かされるものです。
どうして彼女の運命は、こうした深刻な事態を招いたのでしょうか。もちろん、そのことを彼女に聞いてもわかるはずがありません。私は彼女の運命の流れを、さらに詳細に見ていきました。
やはりどう考えても、その流れは偶然の産物ではありません。彼女の心理構造の中にそうした目に遭わされる、必然的な何らかの理由が存在するのです。それが具体的に何であるかという事まではわかりません。運命分析で分かるのは、全体の心理状態や運命の流れを総合的に分析した、あくまで予測した推論なのです。彼女の運命の流れや心理構造はたしかに異性に関するネガティブな要素を含んでいるようでした。
その○○年は彼女の心理構造に照応するように、それが現実化した年だったと考えられるのです。
占い講座12−4
■すべての原因は過去の自分にあった
もちろん彼女は、自らのこうした心理構造をまったく知りません。一般的に考えれば、あくまでも彼女はストーカーの被害者に過ぎないのです。幸いにも彼女が大きな実害も無く、その危険な時期をやり過ごしたことは不幸中の幸いだったといえるでしょう。
今回の事件がただの偶然ではなく、彼女の心理構造の中にそうした現象を引き起こすネガティブな心理構造があったというのは、私自身も驚きでした。もし、彼女の内面にこうした心理構造が無ければ、こうした被害には遭わなかったのかもしれません。運命の世界は目に見えない次元で動いていきます。そのストーカーは偶然に彼女に近づいたのではなく、彼女の中に運命的な何かを感じて、惹きつけられたのかもしれないのです。
運命の世界を考える上で最も大切なことは、運命の世界がすべての人に対して、まったく平等に作られているということです。
運命の世界は、すべての人の運命をまったく平等に、すべて均衡化させていきます。つまり、自らの行為を自らで刈り取らねばならないのです。すべては学びのプロセスとして存在します。人間はこの運命の世界で輪廻転生を繰り返し、生命として向上していく存在なのです。ですから、現在は女性として生まれた人であっても、前世は反対の男性であったのかもしれません。
もし、男性であれば、女性に対して自らがそうした行為に及んだ可能性も否定できないのです。そのような事実があれば、運命を均衡化させる運命の法則のもとに、次の人生においてそれとまったく同じ体験を相手の立場に立って経験させられるでしょう。こうした運命的な現象は、すべて学びの機会として設定されるのです。
「あなたの心理の中に、異性に耽溺しやすい弱い心理が存在します」
「そうした心理が今回の事件のきっかけを作り出した可能性があります」
彼女は私の話を真剣に聞いていました。どこかに思い当たる節があるのかもしれません。こうした内容はすぐに理解することはできません。
なぜなら、誰も過去の記憶を持たないからです。しかし、その記憶は消え去ったのではなく、深層心理の深いところに宿っているのです。こうした深層心理は潜在的な心理構造として、心の基礎的な構造を形成しています。運命分析においては、こうした潜在的な心理構造の分析から、このような具体的な情報を読み取れるのです。
「先生のおっしゃる意味が、何となくわかるような気もします」
彼女は最後にこういいました。どこかで遠い記憶とつながったのかも知れません。実はどんな人でも、過去の記憶を持っているのです。ただその記憶を一時的に忘却しているに過ぎません。しかし深層心理の中には、確実にこうした記憶が宿っていますから、そのことを意識すれば思い出すこともあるのです。
ストーカーという怪奇な現象にも、その背後には運命の世界と深くかかわる理由が存在するのです。こうした男女の愛憎の心理は、私たちが最も克服しがたい本能心理のひとつでしょう。それは生の本能と密接に結びついているために、実に根深い力を宿しています。周期のめぐりによって、その本能が異常なまでに増幅されるとき、私たちは理性を失って過激な行為に走るのです。
こうした異性に対する異常なまでの心理状態は、実際に重大な事件を引き起こす原因そのものを作り出します。私たち人間はこの世界にあって、こうした本能の赴くままに生きてはいけません。その既成事実が後々にあなたの運命を苦しくする原因を作り出しているのです。
すべての人間は男性や女性としての役割を入れ替えながら、こうした経験を積んで運命の法を学んでいきます。この運命の法を知らない人たちが、いまだに過ちを犯し続けているのは本当に残念でなりません。この性に関する過ちは次の生で非常に苦しい運命を形成していくのです。
ストーカーという現象はそうした運命が現象化したもの、といえるでしょう。できれば多くの人がこうした運命の世界を自ら学び、自らの心理を厳然として律していくことを願ってやみません。

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