占い学校

八島高明の占い講座10

予期できない苦難を、
    自らの行為が招いていた




占い講座10−1

 

 

因果応報という言葉があります。これは過去における善悪の業が、現在において幸福や不幸の状態を作り出すという意味です。

古来より仏教思想の定着したわが国では、この思想が当然のように受け入れられてきました。科学思想の広まった現代においてはやや迷信的なもののように思われていますが、この発想法じたいはいまだに人々の心の中に生き続けているようです。

 では、この因果応報の思想は、私たちの運命にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。それにまつわる面白いエピソードがありますので少し紹介してみます。




占い講座10−2


■突然の不渡り手形、その背後にあるのは

 

これはだいぶ前の話ですが、五十代の男性の相談者の話です。その人は親の事業を引き継いだ方で商事会社を経営していました。その経営のほうは順調とまではいかないものの、これまではなんとか採算ギリギリの線で経営してきたとのことでした。しかし、そのギリギリの経営にとっては、会社の存続にかかわる大変な事件が発生したのです。

「こんな目に遭うなんて。これからどうしたらよいのでしょうか」

相談者の男性は非常に落ち込んだ様子で、肩をがっくりと落としています。実はその男性は経営者にとっては最も恐るべき事態に陥っていたのです。額面三千万円の不渡り手形をつかまされた、とのことでした。経営者にとってこの不渡りというものほど怖いものはありません。

どんなに会社の経営がうまく行っていても、一瞬にして会社が傾くのです。私もこの不渡りによる会社倒産の話を何度も聞いていましたが、それに直面している当の体験者から聞くのは初めての経験でした。その男性の話を聞いていると、気持ちが痛いほど伝わってきます。

「なぜ私だけがこんな目に遭うのでしょうか」

男性は何度もこの言葉をつぶやきました。私も最初はその男性にまったく同情的でした。しかし、当の男性の話を聞くうちに、少しずつその考え方が変わってきたのです。

実際に世間ではこのような不条理な話をよく聞くものです。不渡りだけではなく、たとえば知人の保証人になったために大変な額の借金を背負わされた、というようなこともあります。一般的に考えればその男性は完全に被害者であり、その契約に関しては何の落ち度もありません。

悪いのは一方的に相手のほうであり、自分には責任がないと考えるでしょう。ところが複雑な運命の世界を研究している私にとっては一考を要するのです。なぜなら、このような一見すると不条理に思えるような出来事でも、その背後には正当な深い道理が存在することがよくあるからです。

「そうした目に遭わされるような、思い当たる節はないのですか?」

最初は何気なく、念のために尋ねました。

「まったくありません」

男性はたしかにそういいました。私はその答えを聞いてから、その男性の資料に目を通しました。なるほど、事件の起きたその○○年はその男性の「不和の年」に当たっていました。



占い講座10−3

 

■過去の悪業は、自分の運気が弱るときに返ってくる

 

不和の年というのは運命分析において独自に名づけている、十年に一度くらいの悪い年をいいます。悪い年といってもその内容は人によって実に様々ですが、たとえばこの年に病気が発病する人、うつ病などの精神病になる人、妄想にとらわれてストーカーなどになる人、離婚する人、失業する人、交通事故に遭う人などもいて、まったく千差万別といっていいでしょう。

しかし、そこに共通している法則があります。それは「不和年」においては、必ず苦しい精神状況が出現してくるということです。この予測が外れることはまずありません。そして、この年がいつ巡ってくるかは、生年月日時を詳細に計算すれば確実にわかるのです。そしてその計算した年が実際に巡りますと、運命的には非常に苦しい心境が発生してきます。

では、この「不和年」というものは、どのような原理のもとで発生するのでしょうか。この「不和年」が周期的に巡ってくるために、その背後にはたしかな運命原理が存在することを想定せねばなりません。

私は長年の運命研究から、この現象が人間の「理性の機能」と深く関係していることを突き止めました。「理性の機能」とは、人間に社会の常識やルールを守らせて、人間を人間らしくさせる高等な機能です。ですから、この理性機能が働かなければ、人間は健全な社会生活を営めないのです。

「不和年」にはこの高等な理性の機能が実際に麻痺してしまうのです。この機能が麻痺すれば、人間はまともな社会生活を維持できなくなります。たとえば根拠のない妄想に囚われたり、精神的な圧迫感を感じたり、被害妄想に襲われたり、情動的な本能に支配されたりします。

また、そうした心理の異常な状態が長く続きますと、身体のどこかに病気を発生させたり、突発的な事故を引き起こしたりするのです。通常の人間はこの理性の機能がきちんと機能しているために、こうした潜在意識の衝動をうまく処理しています。しかし、この「不和年」が巡りますと、その高等な理性の機能に障害が発生します。

実際に理性の機能が衰弱して、その年はうまく機能しないのです。こうした年は非常に危険な年といえるでしょう。




占い講座10−4

 

■不幸な現象は自らの心が発生させる

 

しかし、ここで注意しなければならない重要な点があります。その「不和年」に発生する現象は、すべてその個人の潜在意識の歪んだ部分から生じてくるという事実です。つまり、その年になると「何か悪いものが外からやって来る」というわけではないのです。

その原因となる歪んだ心理が自らの深層心理の中に封じ込められていて、あくまでもそれが現象化しているに過ぎないのです。たとえば、この年に入ったとたんにストーカーになる人がいます。その人は偶然に運が悪くてストーカーになったのではありません。以前から自分の深層心理の中に強い性的な情動を秘めていて、その年に入るとそれが抑えきれなくなるのです。

またある人は、このような年に入るとうつ病にかかります。これも偶然にそうなったというわけではありません。その年より以前に対人関係での攻撃的な強い本能があり、それが深層心理の中に抑圧されて封じ込められていたのです。そしてその不和年に入るとまったく抑圧が利かなくなり、負の想念が意識の表面に上ってきて現象化されるのです。

CAP運命分析では、このような現象が発生する年を「不和年」と呼び、個人の運命に重大な危険を及ぼす年として非常に重視しています。

実際に、この年には重大な事件や病気や事故などが、かなり高い確率で発生するのです。そのときの相談者の運命がまさにこうした「不和年」に当たっていました。ですから、私はその相談者の方に「何か思い当たる節は無いのか」と尋ねたわけです。

なぜなら、その年に生じる、こうした現象が、ただの偶然において発生するものではない、という確信があったからです。これは、私の長年の運命研究から導き出されてきた、重要な運命法則のひとつです。

「私が何か悪いことをしたのですか?」

その相談者は、当然、こうした因果の法則が存在することを知りません。その人に自覚があろうと無かろうとまったく関係ないのです。私はその相談者の方に、自分の過去を振り返ってみるように指示しました。こうした偶然のように思える現象でも、その時期にピタリと符合して発生することがあれば、それはただの偶然では片付けられない何かがあるからです。

しばらく、男性は沈黙していました。しかし、数分後に何か思い出したようでした。その男性は小さなくぐもった声でいいました。

「ちょっとだけ、思い当たる節があります」

予想通り、その原因は男性の過去において存在したのです。その男性は家業を受け継ぐ前に勤めていた会社で、営業という立場を利用して不正を働いていたのです。仕事を下請けに流す際にその下請け会社から高額のマージンを取っていたようです。それは十年近くの歳月にわたっており、かなりの金額に上ったはずです。本来はその職に見合うだけの収入は貰っていたはずです。

つまり、会社の特権的な立場を利用しての不正な行為でした。そうした不正な行為による収入は、実際の仕事量とはまったく比例しない不当な収入に当たるのです。それは何よりも、自分自身がよく知っている事実です。

こうした不正な行為は、その当事者の潜在意識の中に深く刻み込まれます。その事実を誰が知らなくても、自分自身はその不正行為をはっきりと記憶しているのです。

運命の法則はこうした矛盾した心理や記憶を、すべて整合化させるように機能しています。ですから、それが不正な行為で得た収入であれば、まったく同様な理不尽な現象のもとにそれを再現させるのです。つまりこの男性の例でいえば、ある日突然、まったく理不尽な不渡り手形をつかまされ、自らが会社に対して為したように、不当な金銭の奪われ方をされるというわけです。

「そうですか。わかりました」

その男性の相談者は何となく理解したようです。




占い講座10−5

 

■未来に苦しむ原因を、今つくりだしてはいけない

 

こうした運命の法則は厳然として存在します。昔から言われていた因果応報の原理は、こうした運命の世界においても確認されるのです。しかし、いまだに多くの人はこうした運命の法則が存在していることを知りません。誰にも分からないからといって不正を働く人がなんと多いことでしょうか。不正は必ずしも他人によって裁かれるものではありません。

本当に不正を裁くのは自分自身の内なる心なのです。その内なる心は運命の世界と密接に関連しており、自らの為す行為、考え方などを深く刻み込んでいます。

もし、それが不正に関する情報であれば、自らの環境を不正な法のもとに再現していきます。つまり、自らの為したことを自らが償う環境をつくりだすのです。それは、すぐに自分のもとに返ってくるわけではありません。運命の世界にはとてつもなく大きな周期性があり、その周期の状態に応じてそのときの状況が再現されるからです。

その大きな循環律が「因果応報の原理」の存在をわかりにくくしています。もし、それがすぐに自分のもとに返ってくれば、こうした原理を誰もが理解するでしょう。しかし、自然の法は人間の都合で機能しているわけではありません。

反対に人間がそうした大自然の法の下に生かされているのです。

「これからは、自分の行為に責任を持ちたいと思います」

その相談者の男性は自らの行為を恥じていました。彼はとても現実的なタイプの人であり、その時代に一般的だった当時の慣習に従ったのでした。

その当時はこのようなマージンを貰うことが当たり前の時代だったのです。誰もがそうした行為を、当然の権利のように行っていたのです。

しかし、世間の常識と運命の法は、必ずしも一致するものではありません。本当の法というのは、自らの内なる心の奥深く存在しているのです。それが真の法なのです。それは現在の法律や社会の慣習とは何の関係もありません。

自然の法はあるときは厳然として人間の行為を厳しく裁きます。しかし、またあるときは寛容に人間の行為を許すこともあるのです。それを決めるのは運命の世界に存在する心の法なのです。運命の世界はこうした因果応報の原理を内包し、私たち人間の生き方を実に上手に均衡化させていくのです。





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