インド占星術はジョーティシュとも呼ばれ、インドの知の体系でもある「ヴェーダ」の伝統のもとに組織された占星術です。西洋占星術と同様に「クンダリー」と呼ばれるホロスコープ的なものを作成して、個人の運命を予測する技術です。このコーナーではインド発展を遂げたインド占星術を検証します。
インド占星術講座 - インド占星術とは
インド占星術とは何かを検証する・・・西洋占星術と同根の占星術
インド占星術はジョーティシュとも呼ばれ、インドの知の体系でもある「ヴェーダ」の伝統のもとに組織された占星術です。
西洋占星術と同様に「クンダリー」と呼ばれるホロスコープ的なものを作成して、個人の運命を予測する技術です。
天空360度をハウスと同様に12の「パヴァ(室)」に分け、12の「ラシ(星座)」、9つの「グラハ(星)」、さらに27の「ナクシャトラ(月宿)」をクンダリーに記述していきます。
大部においては西洋占星術とほぼ同じ内容ですが、大きく異なる点は「ダ−シャ」と呼ばれる技術の追加でしょうか。
ダーシャの技術とは?
「ダーシャ」とは、「マハーダーシャ」を初めとして「アンタダーシャ」「プラティアンタダーシャ」「スクシマアンタダーシャ」「プラナダーシャ」にわかれます。
5つの層に分かれ、それぞれの「ダーシャ」がグラハ(星)の周期(数年から数十年)を持ち、5つのダーシャが同時に展開して作用するとされます。
これは「クンダリー」と呼ばれる宿命的な要素に対照する要素で、ダーシャは動いて変化していく運命を司るとされています。
この点は西洋占星術には存在しない技術でもありますが、おもしろいことに、中国の占星術(広義の意味において)ともいえる「四柱推命」の中によく似た同様の考え方があるのです。
四柱推命でも「命式」と呼ばれるクンダリーによく似た変化しない宿命的な要素と、「大運、年運、月運、日運、時運」といった、5つのダーシャによく似ている変化していく要素が存在するのです。もちろん、その技術や方法論はまったく異なりますが、非常によく似た概念といえるのです。
思えば中国とインドにおける関係は、仏教伝来などを見ても分かるように、古代から深い文化の交流がありましたから、古代のインド占星術が中国に何らかの形で入ってきたと考えることもできます。
いずれにせよ文献的な資料がありませんので、ここで確かなことは言えませんが、しかしその両者が非常に近似した占断システムを持っていることは、けっして偶然ではないでしょう。これからの研究課題ともいえます。次にインド占星術の歴史を見てみましょう。
インド占星術講座 - 歴史と検証
インド占星術の歴史・・・インド占星術の起源
西洋占星術の起源が古代バビロニアに求められるように、おそらくインド占星術もその内容の類似性から見ると、古代においては西洋占星術と同根のものだったと思われます。インド占星術の起源は、ヴェーダというインド独自の知の体系とよく同一視とされますが、ヴェーダの起源がおそらく紀元前1500年頃にあったとされるアーリア人のインド侵入以降のものですから、この占星術の起源もそれ以降ではないでしょうか。
古代バビロニア文明において行われていたとされる占星術の起源が、約紀元前3000年ごろですから、その知識がインドに侵入する以前のアーリア人に伝えられたとしても、何ら不思議ではありません。それがアーリア人独自のヴェーダに取り入れられて、インド独自の展開をとげたとも考えられます。
ヴェーダの下で変化した占星術
西洋占星術は主にギリシャの地において展開しました。それと同様に、インドでもヴェーダの影響を受けて占星術が独自に展開し、「ダーシャ」システムといった西洋には存在しない新たな技術が追加されて、現代に至っています。
そしてインド占星術の面白いところは、運気が下降する時期においても、それに対処する具体的な方法があるという点です。
その点は宗教的な技法を取り入れたものでしょう。精神主義の大国インドらしい面白い展開だと思います。
その方法として、その個人の誕生日に見合う宝石を身に着けたり、あるいは「ヤキャ」と呼ばれる特別な手法(呪術的な)によって、凶運を避けることができるとされています。そのあたりは「ヴェーダ」という全知の哲学的な体系を生み出した、インドらしいタフな発想法でしょう。その効果は分かりませんが、私はそうした方法に対しては、一抹の疑問を感じるのです。
運命は何のために存在するのか
運命学的観点から言いますと、そうした手法というのは、結局は運命を改善するための「他力的手段」でしかありません。
そうした手段に頼る前に、「なぜ運命が存在するのか」ということを考えねばならないでしょう。
なぜなら、そうした他力的な方法のみに頼っていくと、運命を乗り越える力や生きていく意志力が弱っていくことにもつながるからです。
あくまで運命の主人公は自分自身であり、波乱の多い運命の波をうまく乗り切る意志と忍耐、そして知恵が人間には必要なのです。
そうした波乱の多い運命において養われる、様々な内的な力を磨くために、この厳しい運命が存在しているとも言えるのです。
人間の本質である内在する意志はこの厳しい運命のなかでこそ大きく成長し、煩悩の中にいる人間性を超越して、偉大な存在となっていくからです。
ですから、運命が苦しい状況にあるからといって、それから逃れる手段ばかり講じていては、その運命が宿している諸々の価値はなくなってしまうのです。そのあたりの話は宗教的、哲学的な大きなテーマとなり、その内容自体がかなり膨らんでいきますので、また後の機会にゆずりたいと思います。参考にサイト内の疑問・質問コーナーをご参考ください。
インド占星術講座 - 番外編
アガスティの葉と運命・・・アガスティアの葉とは
さて、インドと言えば、数年前に話題となった「アガスティの葉」を思い出す人も多いはずです。この「アガスティの葉」とは、インドのマドラスにある「アガスティの館」というところに保存されているとされる、古代の聖者アガスティアの予言を書きしるしたとされる葉です。
その葉には、数千年後にそこを訪れるとされる人々の運命が詳細に書き記されているとされています。また、その葉にはそこを訪れる人の両親の名前や職業、あるいは結婚する相手の名前、さらには前世のことや来世のことまで、実に細かく書かれているとされています。
運命はすべて決まっているのか
アガスティアの葉の意味するものは、その基本的な考え方に「人の運命はすべて決まっている」ということが含まれているようです。この葉のことを信じるも信じないも、まったく個人の自由ですが、運命理論を長く学んできた私にとって、こうした葉の存在というのは受け入れがたいものがあるのも事実なのです。その最大の理由は、人間の運命が将来にわたって事細かに定まっているという点でしょうか。
人の運命を研究して分かったことは、確かに運命には心理構造やカルマ的なものなど「宿命的要素」があるのは事実ですが、それは大まかな運命の「あらすじ」であって、それが未来にわたってこと細かにすべてが定まっているというわけではありません。運命は生まれついての「宿命的要素」に加えて、今現在も連続して、新しい未来の運命を創り出していっていると考えられるのです。
運命は現在作り出していくもの
運命は生まれたときから完全に定められているとする考え方を、「完全宿命論」と呼ぶことが出来るでしょう。
こうした「完全宿命論」には、その明確な根拠があるわけではありません。この理論を検証しますと、その理論自体に矛盾的なものを含んでいるようです。
「完全宿命論」の場合、宿命的なものの原因を「前世」にさかのぼって考えます。
もし、現在の運命が過去の因果から完全に定まっているとすれば、その過去に現在を説明するすべての原因があることになります。しかし、その考え方自体が、最初から矛盾を含んでいるのです。
たとえば、現在の運命が前世の因果で完全に決まっているならば、前世の運命も、その前の前世での原因から完全に決まっていることになるでしょう。つまり、こうした「完全宿命論」をとると、原因と結果が際限なくさかのぼっていき、それを構成しているはずの原因自体の所在が消えてなくなるのです。
しかし、現実の色々に変化する運命を見ていますと、どこかにそれを変化させる要因を考えねばなりません。つまり、因果の原因として、すべてを前世にさかのぼるのではなく、運命は今現在も作りつつあると考えねばならないのです。こうした思考法を取らない限り、運命の原因自体が解明できなくなるのです。
葉を残す意味は何か
またさらに、聖者アガスティアという人物が実在したのは確かなことかもしれませんが、彼が本当にそうした葉を残したのか疑問が残ります。なぜなら、この葉がそこにしか存在しないからです。
もし、そうした葉が本当に存在するのなら、ノストラダムスの予言のようにもっと広範囲に広がったのではないでしょうか。また、そうした聖者が個人の運命をそこまで詳細に予測して、その葉を残す意味が存在しているのでしょうか。
いや、果たして聖者といえども数千年後の個人の予言なんて、本当に可能なのでしょうか。他の聖者の例ではこのような話を聞いたことがないからです。
それも両親や配偶者の名前まで読めるというのです。そんな話は、世界中の高名な予言者を探しても聞いたことがありません。こうした古代の聖者や賢者に仮託して、自己の立場を権威付けるといったやり方は、昔から常習的に行われてきた手段の一つでしょう。
これはインドの精神文化を悪用したひとつの商法ではないのでしょうか。こうしたオカルトの世界は見えない世界だけに、こうした神秘的なことが悪用されやすいのかもしれません。では、アガスティアの葉の技法とは、どのように行われているのでしょうか。
言葉のジグゾーパズルか?
私は、おそらくそのやり方は、「言葉のジグゾ―パズル」だと推測しています。つまり、その館の質問者はその葉を探しに来た人に対して、さまざまな脈絡のない質問を何時間にもわたって繰り返します。
回答者はその断片的な質問に対して答え続けますが、それがほんの断片的な答えであり、前後につながりのない脈絡のない質問ですから、少しも気にせずにどんどん質問に答えていきます。しかし数時間もすると、実は自己に関する多くの質問にほとんど答えてしまっているのです。
しかし、回答者自身は自分の個人情報を数時間にわたって断片的に答えているために、まさか自分の重要な情報をすべてしゃべっている事には、まったく気づきません。そして館の質問者はその断片的な情報を持ち帰り、葉を探すと称して館の奥でその情報を時間をかけて組み立てているのです。
そのやり方は、まさに「言葉のジグゾーパズル」といえるのかもしれません。また、個人の未来に関することは、インド占星術の知識がある人であれば、個人のおおよその未来の出来事は予測できるものです。これをひとつのパフォーマンスとしてみるのならば、何の問題もないでしょう。
しかし、それを信じ込んで大金を払ったり、未来の出来事をすべて信じ込んで行動するとすれば、それはパフォーマンスではすまない大きな問題へと発展します。
いずれにせよ、こうしたものの存在を信じるも信じないも個人の自由ですが、一人一人が真実を見る目を持ち、正しい認識をもってくれたらと願います。
天空の星々は確かに人の運命の軌跡を告げますが、それは運命の基礎的なベースであって、人がいつ死ぬかというような「寿命」まで、最初から定まってはいないのです。運命はまさにこの瞬間、連続して作られつつあるのです。
〔八島高明・文〕
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オフィスファルの「占いと運命の科学」より |
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